前回の記事でパームオイルについて触れましたが、色々調べていくうちに、パームオイルはカロチンとビタミンEを豊富に含む優秀なオイル(*1)なのですが、地球環境にとってはやさしくないことがわかりました。
パームオイルは加工食品や燃料に使われており、植物油の生産量では世界第1位ですが、その背景には森林伐採による生態系の消失、工場廃棄物による水質汚染、生産者の人権問題など様々な問題があります。
*1 栄養価が高いのは未精製のパームオイルだけです。食品産業で使用される精製したパームオイルは、精製過程で高温処理が施されており、栄養素のほとんどが失われてしまいます。未精製のものはオレンジ色、精製したものは透明色をしています。
実は色々なものに使われているパームオイル
わたしがパームオイルに興味を持ったのは、石けんや手作りコスメからですが、世間一般では主に食品に使用されています。ファーストフードの揚げ油もそうですし、マーガリンやチョコレート、お菓子、インスタントラーメンなど、幅広く使われているオイルなのです。家庭料理ではあまりなじみのないオイルですが、食品産業では幅広く使われているのですね。
パームオイルを取り巻く環境の真実
パームオイルは元々は西アフリカを原産地としていましたが、使い道がたくさんあることから、アブラヤシの木がマレーシアやインドネシアに持ち込まれ、大規模な農園(プランテーション)開発が行われました。現在日本に輸入されるパームオイルのほとんどはマレーシア産です。
この大規模な農園開発で何が行われたかというと・・・
- 熱帯雨林の伐採:
マレーシアやインドネシアでは、アブラヤシ農園を作るために、広大な原生林が焼き払われてしまいました。そのせいで先住民の人々が住む場所を追われたり、動物たちが住む場所や食べ物を失いました。
- 環境汚染:
アブラヤシの栽培に使う農薬やオイルを抽出した廃棄物による環境汚染は、周囲に住む人々や動物の暮らしに影響を及ぼします。
- 生産者の労働問題:
低賃金で労働を強いられたり、児童労働が問題になっています。
RSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」
このような問題を背景に、パンダのマークで有名な、世界自然保護基金(WWF)が、RSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」を設立し、持続可能なパームオイルの生産と利用を促進し始めました。こちら↓のムービーで紹介されています。
RSPOは持続可能なパームオイルを見分けるための認証マークにもなりましたが、実際に加盟している企業をみてみると、財閥系商社や花王、ライオン、資生堂などの大企業がほとんどで、大量生産・大量消費を促しているこれらの会社が本当に持続可能なのかというと、少々疑わしい気もします。わたしが思うに、この認証制度は、企業の社会的責任を証明するものであって、消費者が商品を選ぶ際の指針としては少し弱いような気もしています。
人と地球にやさしいパームオイル
パームオイルを使ってみたい、でも生産国の人々や地球環境に負担のかかることはしたくない。では、どの商品を選べばいいのでしょうか?
RSPOマークがついている商品を選ぶのもひとつですが、そのほかの基準として考えられるものを挙げてみます。
- オーガニック(有機栽培)のパームオイルを選ぶ
有機栽培で育てられたアブラヤシは少なくとも、周囲の環境や生産者の健康に悪影響を及ぼすことはないのではないかと思います。
- インドネシア産、マレーシア産のパームオイルを避ける
営利目的で大規模な農園開発が行われたインドネシアやマレーシアのパームオイルを避け、元々の原産国であったアフリカや南米のものを選ぶのもありだと思います。
というわけで、見つけたのがこれ。
エキストラバージン レッドパームオイル418g 低温圧搾 エコフレンドリー Cold Pressed Extra Virgin Red Palm Oil
エクアドルのオーガニック農園で人工的な化学物質を使わずに作られたレッドパームオイルです。しかも低温圧搾なので、オイルの栄養素が失われていないのも嬉しいですね。
マレーシア産のレッドパームオイルと比べるとやや高めですが、オーガニック、低温圧搾、エコフレンドリーといいことづくめなので、わたしはこれからはこのオイルを購入することにします☆